食品の温度管理を適切に行えば不良品が原因で食中毒が起きてトラブルに発展するのを未然に防げます。食中毒の原因となる細菌やウイルスにはサルモネラ菌や黄色ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌やノロウイルスなどがあります。例えばサルモネラ菌は加熱が不十分な肉や魚、卵などに付着しており乾燥に強く熱に弱いのが特徴です。サルモネラ菌が付着した食品を食べると食後6時間から48時間ほどで吐き気や下痢、発熱や頭痛などの症状が起こります。
多くの細菌やウイルスによる被害は適切な方法で温度管理を行っていれば防ぐことができます。細菌やウイルスは基本的に熱に弱いため温度管理が重要ですが、中には黄色ブドウ球菌のように熱に強い毒素を作るものもあります。黄色ブドウ球菌は人間の鼻や口の中にいる細菌で、傷やニキビなどに触れると手に付着します。食品を加熱すれば黄色ブドウ球菌を処理できますが、既に毒素が作られている場合は加熱しても対処できません。
適切な温度管理によって細菌やウイルスの繁殖を防ぐだけでなく、加熱後に手で触れないよう注意することが大切です。日本では2021年6月から、全ての食品関連企業にHACCPという新しい衛生管理手法の導入と運用が義務付けられました。この衛生管理手法では食品が出荷されるまでの全ての工程を細分化し、温度などを適切な方法で管理します。以前は出荷前に一部の製品に対する抜き打ち検査が行われていましたが、全ての不良品の出荷を防ぐことはできませんでした。
HACCPを導入し様々な危害要因による影響を分析した上で、適切な方法で温度などを管理すれば不良品が出荷されて食中毒の被害が起きるのを防げます。