食品を扱う企業にとって食中毒などのトラブルを避けるため、適切な温度管理は重要な課題です。基本的に細菌やウイルスは適切な温度管理を行っていれば繁殖を防ぐことができます。特に春から夏にかけては細菌が繁殖しやすくなり秋から冬にかけてはウイルスが流行しやすくなりますが、季節に関わらず温度管理を徹底することが大切です。食中毒の原因となる主な細菌やウイルスにはサルモネラ菌や黄色ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌やノロウイルスなど様々なものがあります。
サルモネラ菌は十分に加熱していない肉や魚、卵などに付着しており乾燥に強く熱に弱いのが特徴です。腸管出血性大腸菌も加熱が不十分な肉や生野菜などに付着していて、食後12時間から60時間ほどで激しい腹痛や下痢などの症状が起きます。ノロウイルスは牡蠣などの二枚貝を十分に加熱しないで食べた場合や、ウイルスに汚染された水道水などを飲んで感染することがあります。多くの細菌やウイルスは加熱すれば食中毒を防ぐことができますが、黄色ブドウ球菌の毒素は熱に強いので注意しなければなりません。
黄色ブドウ球菌は人間の皮膚や鼻、口腔内にいる細菌で傷やニキビを触った手でさらに食品に触れると食中毒の原因になります。細菌やウイルスによる食中毒を防ぐためにはたんに温度管理を行うだけでなく、加工後に直接手で触れないよう注意が必要です。温度管理を含めた総合的な衛生管理を行えば、細菌やウイルスによる食中毒を防ぐことができます。